ドイツ連邦議会(下院)は14日、連帯税改正法案を与党の賛成多数で可決した。所得税を補完する形で課される連帯税の課税対象を高額所得者に制限することが同法案の柱で、納税義務者の90%は2021年から同税を全面的に免除されることになる。法人税を補完する連帯税は維持されるため、企業の税負担は軽減されない。
連帯税は東西ドイツ統一の費用を賄う目的で1991年に導入された連邦税(国税)。当初は時限措置とされていたが、財政赤字が続いたことから95年以降は無期限で徴収。現在は所得税と法人税の5.5%に相当する額を納める決まりとなっている。
ドイツは2014年以降、財政赤字を計上していないうえ、東部地区と西部地区の格差も縮小していることから、近年は連帯税の廃止を求める声が強まっていた。今回の法改正案はこれを踏まえて作成されたもので、施行されると納税義務者の90%は連帯税納付の義務がなくなる。独身者では月収6,000ユーロ以下が免除対象となる。納税義務が続く残り10%のうち6.5%の人も税負担が軽減されることから、これまで通りの額を納付する人は3.5%となる。
連帯税の免除対象を一部の納税者に制限することについては基本法(憲法)に抵触するとの批判があり、野党・自由民主党(FDP)は違憲訴訟を起こす意向だ。