化学大手の独ランクセス(ケルン)は13日、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量を差し引きでゼロにする「カーボンニュートラル」を2040年までに実現する目標を発表した。産業革命前からの世界の平均気温上昇幅を2度未満に抑えることなどを取り決めた2015年のパリ協定を受けて、温室効果ガスの排出削減に向けた取り組みを幅広い業界の企業が打ち出し始めており、同社も追随した格好だ。
ランクセスは04年の設立から18年までに温室効果ガスの排出量を650万CO2換算量(CO2e)から320万CO2eへと半減させた。今後は25年までに240万CO2e、30年までに160万CO2eへと引き下げていき、40年までにカーボンニュートラルを達成する計画だ。
温室効果ガスの排出削減は◇技術プロジェクトの実施◇コーポレートガバナンス的な手法◇生産技術の見直し――を通して実現していく。
技術プロジェクトとしては、ベルギーのアントワープ工場に温室効果ガスの分解装置1台を設置し来年から稼働させる。これにより年15万CO2eの削減を実現。23年にはさらなる分解装置を設置し45万CO2eへと引き上げる。また、インドの全拠点で用いる電力をすべて再生可能エネルギー電力へと切り替える。これらの措置により温室効果ガスの排出量を25年までに80万CO2e引き下げる。
コーポレートガバナンス的な手法としては◇温室効果ガスの削減に寄与するのかどうかを投資の判断基準に設定する◇温室効果ガスの排出削減量が著しく進展した事業部門に金銭的なメリットを与える◇温室効果ガスの排出削減を管理職と取締役のボーナスに反映させる――を導入する。