独投資会社プリベントは18日、同社の買収活動を自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)が不当に妨害しているとして米国で損害賠償訴訟を起こした。プリベントはボスニアの事業家ハスター家の投資会社で、複数のサプライヤーを傘下に持つ。2016年にVWへの部品供給を拒否し、VWの生産ラインを停止させたことで一躍、有名になったいわくつきの企業だ。ドイツから米国に舞台を移し、VWとの新たな争いを始めた。
訴状によると、VWは小規模なサプライヤーに対し、プリベントに買収されないよう圧力をかけたという。プリベントはVWのこの措置により米国企業の買収を少なくとも7件、妨害されたと主張。損害賠償7億5,000万ドルの支払いを求めて提訴した。
これに対しVWは、プリベントの傘下に入ったサプライヤーが部品供給を“違法に”停止したことでVWが生産停止に追い込まれた過去の例を指摘。こうした問題行為を受けてVWはプリベント系のサプライヤーと取引しないことを決めたとして、「わが社がプリベントに被害を与えたのではなく、プリベントがわが社に被害をもたらした」と批判した。裁判で徹底的に戦う構えだ。
プリベントは昨年1月、シリンダークランクケースやシリンダーヘッド、クランクシャフト、シリンダーブロックを製造する独NHGを買収した。VWはその後、NHGからの部品調達を大幅に減らすと通告。NHGは大幅な値上げで対抗したものの、VWから取引を打ち切られ経営危機に陥ったことから、最終的に独投資会社ワン・スクエア・アドバイザーズを中心とする企業連合へと転売された。