仏自動車大手PSAが独子会社オペルのポーランド工場で年末までに800~2,000人を削減する。同工場が手がける乗用車「アストラ」の販売不振を受けた措置。整理解雇は避け、業務の外注化や早期退職制度の利用を通じて実施する。
人員を削減するのは南部シロンスク県のグリヴィツェ工場だ。PSAは同工場でのアストラ生産が2021年に終了するのを視野に、同じ敷地に小型商用車(LCV)工場を新設する方針も明らかにした。新会社として設立し、継続雇用を希望する従業員と新たに雇用契約を結ぶ形式をとることで、人件費を抑える意向とみられる。労組側は「従来の賃金協定を反故にするもの」と強く反発している。
PSAのタバレス最高経営責任者(CEO)は現在、伊米系自動車大手フィアット・クライスラーの買収合併を目指している。120工場、14ブランドを維持しながら、合併で37億ユーロのコスト削減を実現する約束だ。
業界専門家は、新会社設立がこの約束を果たすトリックのひとつとみる。ほかにも、工場売却や一部事業の外注化(従業員を他会社に移管)を実施すれば、工場「閉鎖」なしにリストラが進められると説明する。
グリヴィツェ工場は減産のため、昨年に3シフト制から2シフト制に移行した。同工場のアストラ生産能力は1時間当たり40台だが、現在の実績は27台に過ぎない。今年1~9月のアストラ販売台数は前年同期比で16%弱縮小しており、このまま減少傾向が続けばさらにシフトが減り、固定勤務制になる可能性さえある。