独複合企業ティッセンクルップ(エッセン)が21日発表した2019年9月通期の株主帰属の純損益は3億400万ユーロの赤字となり、赤字幅は前期(6,200万ユーロ)の約5倍に膨らんだ。業績不振のほか、人員削減と鉄鋼カルテルの引当金計上が響いた格好。同社は経営が危機的な状況にあり、マルティーナ・メルツ新社長は健全化には2~3年を要するとの見方を示した。
本業のもうけを示す営業利益(EBIT、調整済み)は8億200万ユーロとなり、前期を44%割り込んだ。産業ソリューション部門(プラントエンジニアリング)の赤字が34%増の1億7,000万ユーロへと膨らんだほか、印タタ製鉄の欧州事業と合併に失敗した鉄鋼部門の利益が95%減の3,100万ユーロへと激減したことなどが響いた。自動車部品部門は18%増の2億3,300万ユーロ、エレベーター部門は5%増の9億700万ユーロと増益を確保した。
売上高は1%増の419億9,400万ユーロで、売上高営業利益率は前期の3.5%から1.9%へと低下した。
経営陣は収益力が高いエレベーター部門の新規株式公開(IPO)ないし売却を実施し、財務基盤を強化する方針を打ち出している。ヨハネス・ディーチュ取締役(財務担当)はIPOと売却のどちらを選ぶかは未定だと述べた。産業ソリューション部門については売却ないし合弁化に向けて準備を進めている。