化学大手の独BASFは23日、基礎化学品から川下までの幅広い製品を手がける総合生産施設(フェアブント拠点)の建設を広東省南西部の港湾都市、湛江で開始した。同拠点はBASFが中国に持つ初の100%子会社。まずは耐熱性と機械的強度の高い樹脂であるエンジニアリングプラスチックと熱可塑性ポリウレタンを生産し、同国南部とアジア市場に供給する。
同社史上最大の100億ドル強を投じて、フェアブント拠点を建設。第一弾として2022年からエンプラを年6万トン生産する。これによりBASFがアジア太平洋に持つエンプラの生産能力は29万トンへと拡大する。フェアブント拠点は30年に全面完成する予定だ。
外資が中国で生産事業を行うためにはこれまで、現地企業と合弁会社を設立しなければならなかった。同国政府が欧州連合(EU)などの批判や米トランプ政権の強硬な対中通商政策方針を受けて同合弁規制を緩和したことから、BASFは完全傘下の工場を同国に建設できるようになった。
同社はフェアブント拠点を本社所在地の独ルートヴィヒスハーフェン、ベルギーのアントワープ、米フリーポート、米ジェイズマー、マレーシアのクアンタン、中国の南京の計6カ所に持つ。南京拠点は中国石油化工との折半出資会社として2000年に開設された。湛江の新拠点はルートヴィヒスハーフェン、アントワープに次いで3番目に大きな拠点となる。