独電気電子工業会(ZVEI)は5日、世界の半導体売上高が今年は前年比12%減の4,130億ドルへと大幅に縮小する見通しを明らかにした。米中の通商摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる混乱、自動車市場の低迷、価格の低下が響くため。次世代移動通信5Gや車両の電動・IoT化、人工知能(AI)の利用増加を背景に中期的には拡大が見込めるとしている。
今年の半導体売上を顧客産業別にみると、減少幅が特に大きいのはタブレットPCとスマートフォン向けで、それぞれ18%、17%に上る。薄型テレビとパソコン向けも各11%、6%落ち込む。自動車向けは横ばいにとどまる見通し。
製品分野別では全体の27%を占めるメモリーが28.8%減となり、足を強く引っ張る。アナログ半導体とロジック半導体もそれぞれ6.9%、5.4%縮小する見通しだ。プロセッサーは4.7%後退する。増加が見込まれるのは光エレクトロニクス(5.2%増)、センサー(1.6%増)、ディスクリート半導体(1.1%増)。
国・地域別ではアメリカ大陸が21%減少。中国も10%縮小する。日本は9%減となる見通し。
欧州・中東・アフリカは6%減の400億ドルに後退するものの、減少幅は世界全体の12%を下回る。背景には売上減少幅の大きいメモリーの割合が同地では低いという事情がある。ドイツは12%減の134億ドルで、減少幅は世界平均と同じとなる。
来年の半導体売上高については4%増の4,290億ドルを予想。EMEAとドイツについてはそれぞれ5%増の420億ドル、5%増の141億ドルを見込む。
19~22年の平均予想成長率を部門別でみると、自動車向けは年8.9%、産業向けは7.9%、スマホ向けは7.4%と高い水準が見込まれている。一方、薄型テレビ向けは0.3%と低く、パソコンとタブレットPC向けはそれぞれマイナス0.7%、マイナス0.1%と振るわない。