自宅での制服着脱、労働時間に該当するか

制服の着用が義務付けられている職場ないし職種では制服の着脱が勤務の一部とみなされ勤務時間に算入れることがある。これは最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が2000年の判決で下した判断で、制服を着用したまま出勤しても外見上、特に目立たない場合は着替えの時間が勤務時間に当たらないが、そうでない場合は勤務時間に該当するとしている。外見でそれとわかる制服の着脱は労働時間に当たることから、給与の支給対象となる。では、制服の着脱を自宅で行った場合も労働時間とみなされ、給与の支給対象になるのであろうか。この問題を巡る係争でベルリン・ブランデンブルク州労働裁判所が昨年8月に判決(訴訟番号:15

Sa

575/19)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判はベルリン州の警察官が雇用主である同州を相手取って起こしたもの。同警察官は制服の脱着を自宅で行っていたことから、これに要する時間を労働時間として認め、給与を支給するよう要求。被告州に拒否されたことから提訴した。

二審のベルリン・ブランデンブルク州労裁はこの裁判で、制服の脱着は労働時間に当たるとして原告勝訴を言い渡した。判決理由で裁判官は、勤務先(地)で制服を着脱できず自宅でせざるを得ない場合は、自宅であっても着替えの時間が労働時間に当たると指摘。原告のケースはこれに該当するとして、着替え時間として1日当たり12分を勤務時間とし、その分の給与を支給することを被告に命じた。

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