独銀最大手のドイツ銀行(フランクフルト)が1月30日発表した2019年12月期決算の税引き後損益は52億6,500万ユーロの赤字となり、前期の黒字(3億4,100万ユーロ)から大幅に悪化した。赤字計上は15年12月期以降で4度目。同行史上最大の組織再編に伴う費用などが響いた。株主帰属の純損益は赤字幅が前期の5,200万ユーロから57億1,800万ユーロへと膨らみ、5期連続で赤字となった。
19年12月期には組織再編と評価損、人員削減で計30億ユーロを計上したほか、繰延税金資産(DTA)の評価額を28億ユーロ引き下げたことから、赤字幅が膨らんだ。ただ、これらの措置により再編関連の費用の70%を計上。クリスティアン・ゼーヴィング頭取は下半期に収益が安定してきたほか、コスト削減の効果が出ていることなどを挙げ、再編費用をすべて自力でねん出し再び成長軌道に復帰できるとの見方を示した。
税引き前損益は26億3,400万ユーロの赤字となり、前期の黒字(13億3,000万ユーロ)から悪化した。ただ、不良資産の受け皿機関「キャピタル・リリース・ユニット(CRU)」を除いた「コアバンク」分野に限ると5億4,300万ユーロの黒字を計上。特別費を除いたコアバンクの同利益は7%増えて28億ユーロとなった。
狭義の中核自己資本比率(CET1比率)は12月(第4四半期)末時点で13.6%となり、9月(第3四半期)末の13.4%から改善した。12月末の行員数(フルタイム勤務)は8万7,597人で、前年同日から4,100人減少した。
市場はドイツ銀の改革が進展していると評価したもようで、同日の終値は前日を約4.3%上回る8.31ユーロに上昇。18年秋以来の高水準となった。