独高級乗用車大手BMW(ミュンヘン)のオリファー・チプセ社長は11日にボーフムで開催されたシンポジウムで、同社が今年欧州で販売する新車の二酸化炭素(CO2)排出量を約20%引き下げる目標を明らかにした。欧州連合(EU)のCO2排出規制に対応することが狙い。削減目標20%のうち3分の1を内燃エンジンの改善、残り3分の2を電動車の販売拡大で実現する。
EUは走行1キロメートル当たりの乗用車のCO2排出量を2021年までに現在の平均130グラム以下から同95グラム以下に抑制する計画。30年には21年に比べてさらに37.5%引き下げることを目指している。これらの目標を達成するためにメーカー各社は電気自動車(EV)など電動車への移行を急いでいる。遵守できないメーカーには制裁金が科される。
BMWやメルセデスなど大型モデルが多いメーカーは21年の規制上限値が95グラムよりもやや高くなる。専門家は100グラム強と試算している。
BMWの19年のCO2排出量は明らかにされていないが、18年の128グラムをやや下回る程度にとどまったもようだ。このため21年が期限となっている規制値を遵守するためにはエンジン効率と電動車の販売比率引き上げを早急に進めなければならない。
チプセ社長はまた、EUのCO2規制を満たすためには電動車の市場規模が今後10年以内に現在の10倍以上に拡大しなければならないとも明言した。顧客の約50%がEVないしハイブリッド車(HV)を購入する必要があるとしている。