製薬大手の独バイエル(レバークーゼン)は11日、首都ベルリンで展開する低分子医薬品の研究事業を製薬会社向けサービス会社ヌヴィサン(Nuvisan)に部分売却すると発表した。研究・開発の柔軟性と生産性を高めることが狙いで、今後は同分野の研究サービスをヌヴィアンから受けることになる。取引金額は非公開。従業員代表との協議を経て、譲渡手続きが今年半ばに完了すると見込んでいる。
ヌヴィアンは独南部のノイウルムに本社を置く企業。製薬会社向けに臨床試験や受託生産を行っている。従業員数は420人、売上高は5,500万ユーロ。今回の取引に伴いバイエルの当該事業を引き継ぎ、ベルリンで研究センターを運営する。
同センターではバイエル以外の企業からも研究・開発業務を受託する。臨床試験を自ら行うことが難しいバイオ企業やスタートアップ企業を顧客として想定している。ベルリンにはヘルスケア分野のスタートアップが多く、需要は大きいとみている。
同センターの雇用規模は約400人。人材の一部はバイエルから移籍する。
今回の取引の背景には、バイエルの新薬部門で主要製品の特許が今後、相次いで失効することがある。同社はその穴を埋めるために、提携や買収を通して開発パイプラインを補充する方針を2018年11月に打ち出した。