独化学大手バイエルとBASFの除草剤で収穫被害を受けたとして、米国の農業従事者が両社を相手取って起こしている係争で、ミズーリ州ケープジラードにある連邦裁判所の陪審団は15日、総額2億6,500万ドルの支払いを命じる評決を下した。両社はこれを不服としており、控訴して争う構えだ。
裁判を起こしたのは桃農園を営んでいたビル・ベーダー氏。訴えによると、周辺の農家が使用した両社の除草剤の影響で、同氏は栽培していた桃が壊滅的な打撃を受け経営破たんに追い込まれた。陪審団はこの主張を認め、両社に賠償金1,500万ドルと罰金2億5,000万ドルの支払いを命じた。
問題となっているのは除草剤「ジカンバ」だ。同剤は米モンサントが開発した製品で、バイエルはモンサント買収に伴い責任を問われる格好となった。BASFはジカンバをベースとする遺伝子組み換え作物向けの製品を販売している。
バイエルは声明で、正しい使用法を守っていればジカンバが散布対象以外の農作物に付着するリスクはないことを米環境保護局(EPA)が認めていると指摘。同社に責任はないとの見解を示した。BASFは、原告の経営破たんの原因はひょう害と遅霜であり、周辺農家の除草剤散布ではないとしている。