ドイツポスト(ボン)は2月28日、2020年の営業利益(EBIT)を50億ユーロ超に拡大するとした目標を保留すると発表した。中国を中心に流行する新型肺炎と電気自動車(EV)子会社ストリートスクーターの再編を踏まえた措置。EBIT見通しは新型肺炎の流行がある程度、収まってから明らかにする意向だ。
新型肺炎の流行を受けて中国だけでなく他のアジア諸国でも物流需要が減少している。その影響でドイツポストの2月の利益は計画を6,000万~7,000万ユーロ下回る見通し。流行が長期化すれば20年のEBIT見通しの下方修正が避けられなくなる。
ストリートスクーターは独西部のアーヘンにあるライン・ヴェストファーレン工科大学(RWTH)のスピンオフとして10年に設立された。ドイツポストは11年、配達用車両の開発をストリートスクーターに委託。14年に同社を買収し、自社の配達車両を同子会社製のEVへと切り替えていった。
だが、ドイツポストは物流企業であるため、ストリートスクーターを長期的に子会社にとどめておく考えはないことを表明。合弁会社化に向けてパートナー探しをしてきたが、今回これを打ち切ったことを明らかにした。今後はストリートスクーターをメーカーからドイツポストが保有する配達EVの運営会社へと転換する意向で、EV生産は年内に停止する。これに伴い3億~4億ユーロのコストを計上することも20年のEBITを圧迫する。
同日発表した19年12月期のEBITは前期比30.6%増の41億3,000万ユーロと大幅に拡大した。比較対象の18年12月期は特別費の計上で水準が押し下げられており、その反動で大きく伸びた。売上高は2.9%増えて633億ユーロとなった。