システムを維持するうえで重要な業種の労働時間規制を緩和するドイツ連邦労働省の時限省令が10日、発効した。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて一部の業界で人手不足が深刻になっていることから、医療や物流など社会・経済の生命線を握る分野を対象に残業・休息時間規制を差し当たり7月末まで緩める。
ドイツでは被用者の労働時間を、残業も含めて1日10時間以内に抑えなければならないことが労働時間法で定められている。また、終業から始業までの時間を最低11時間とすることが義務付けられている。
労働時間法は新型コロナ危機対策の一環で3月下旬に改正された。緊急事態が発生した場合、省令を通して労働時間規制を緩和する権限を労働省に認めている。
同省はこの規定に基づいて今回の時限省令を策定した。公共の安全・秩序と医療・介護システムの維持、市民の生存に必要不可欠な物資の供給に関わる業種を対象に労働時間規制を緩和する。具体的には1日当たりの労働時間の上限を12時間へと引き上げ、終業から始業までの最低時間を9時間へと短縮。日曜日と祝日の就労禁止規制も棚上げとする。
対象となる業種は医療・介護、消防・レスキュー、ごみ収集、エネルギー・水道、農業、現金輸送・警備、薬局、物流、通信網・電算システム、消毒液やマスクなど新型コロナ対策に必要な製品製造など。宅配サービスと食品小売はサービス労組Verdiの要請を受けて除外された。スーパーの店員は新型コロナの感染リスクのなかで勤務しストレスが増えていること、宅配従事者は感染リスクのほか、配達需要の増加で勤務時間がすでに長くなっていることが考慮されたもようだ。