ドイツ政府は8日の閣議で、貿易法改正案を了承した。昨年4月に発効した「欧州連合(EU)への外国直接投資の審査枠組み創出規則(スクリーニング規則)」に国内法を適合させるもので、重要インフラ分野の企業への出資を外資が計画する場合、政府はこれまでよりも包括的かつ予見的に審査を行えるようになる。ペーター・アルトマイヤー経済相は新型コロナウイルスの感染拡大を受けてワクチンなど医療分野の技術の重要性が高まっていることを踏まえ、「現在の状況はまさに、我々がドイツと欧州において特定の分野で独自の能力と技術を必要としていることを示している」と述べた。
同法案が議会の承認を経て施行されると、政府はドイツ企業への外資の出資が自国だけでなく他のEU加盟国およびEUのプログラム、プロジェクトにもたらす影響も視野に入れて審査を行えるようになる。また、審査の終了前に外資が買収や出資の既成事実を作り上げることができなくなる。
スクリーニング規則ではEU加盟国と欧州委員会が域外からの投資について情報交換と協業を行うことが定められている。今回の貿易法改正案には、この協働メカニズムで経済省がドイツの窓口となることも盛り込まれている。