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2020/4/29

総合 - ドイツ経済ニュース

EU首脳会議がコロナ「復興基金」創設で合意

この記事の要約

欧州連合(EU)加盟国は23日に開いたテレビ首脳会議で、新型コロナウイルス感染が収束した後の域内経済の再建を支援する「リカバリー・ファンド(復興基金)」を創設することで合意した。

欧州委に策定を要請することで合意した。

欧州委が復興基金の財源の一部を確保するため、独自に市場で資金を調達する用意があることも明らかにした。

欧州連合(EU)加盟国は23日に開いたテレビ首脳会議で、新型コロナウイルス感染が収束した後の域内経済の再建を支援する「リカバリー・ファンド(復興基金)」を創設することで合意した。基金は1兆ユーロ(約115兆円)を超える規模となる見込み。ただ、制度設計については加盟国間で溝があり、欧州委員会が詳細を詰めることになった。

復興基金の創設は、ユーロ圏19カ国が9日に開いた財務相会合で合意したもの。新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた企業を支援し、コロナ危機収束後のEU経済の速やかな復興を下支えする狙いがある。

EU27カ国は今回の首脳会議で、EUの次期中期予算(対象期間2021~27年)に組み込む形で同基金を創設することで合意した。規模については決まっておらず、欧州委員会のフォンデアライエン委員長が記者会見で「兆の単位になる」と述べるにとどまったが、1兆~1兆5,000億ユーロ程度との見方が浮上している。

財源など詳細は未定。欧州委に策定を要請することで合意した。消息筋がロイター通信に明らかにしたところによると、欧州委は5月6日までに作業を終え、具体案を提示する予定だ。

復興基金の財源に関しては、フランスとイタリア、スペインなどが「コロナ債」と称されるユーロ圏共同債を発行することを主張している。しかし、ドイツやオランダなど財政健全化に努めてきた加盟国が、財政が厳しい南欧諸国などの債務を肩代わりすることになりかねないとして強く反対しており、先のユーロ圏財務相会合では結論を持ち越した経緯がある。今回の首脳会議では、復興基金創設の大枠合意を優先し、共同債構想については突っ込んだ協議を行わなかったが、今後も争点となる可能性がある。

基金の性格についても加盟国間で大きな溝がある。新型コロナウイルスの感染拡大が深刻で、すでに巨額の財政出動で対策費を捻出したイタリア、フランスなどは返済が不要の補助金の形で交付するよう要求。これに対してオランダ、オーストリアなどは融資とすることを強く主張している。ドイツのメルケル首相も「補助金は私が同意できる範疇に属さない」としており、間接的な表現ながら融資にするべきという立場だ。

これについてフォンデアライエン委員長は「妥当なバランス」を模索すると述べ、融資と補助金を組み合わせる方式を検討する意向を表明した。

復興基金の要となる中期予算をめぐっては、各国の利害が対立し、協議が紛糾するのが恒例。欧州でコロナウイルス感染が深刻化する直前の2月下旬に開かれた首脳会議でも、次期の予算規模について意見の調整がつかず、暗礁に乗り上げた。

それでも、今回の首脳会議では新型コロナ危機に際してEUの結束が必要として、復興基金のために増額することで一致した。フォンデアライエン委員長は、現在は域内総所得(GNI)比1.2%が上限となっているEU予算を向こう2~3年間は同2%程度まで引き上げることが必要と指摘。欧州委が復興基金の財源の一部を確保するため、独自に市場で資金を調達する用意があることも明らかにした。さらに、ドイツのメルケル首相が次期中期予算への同国の拠出拡大に応じる意向を示すなど、一定の進展があった。