ECBによる資金供給、ジャンク債も担保に

欧州中央銀行(ECB)は22日に開いた緊急政策理事会で、ユーロ圏の銀行がECBから資金供給を受ける際の担保となる債券の要件を緩和すると発表した。ユーロ圏経済が新型コロナウイルスの感染拡大で厳しい状況にあるなか、信用収縮を防ぎ、企業などに円滑に資金を供給できる体制を確保するのが狙い。ジャンク債と呼ばれる投資不適格級の国債、社債の一部も担保として受け入れる。

ユーロ圏の市中銀行がECBから資金供給を受ける際に担保として認められる債券は通常、「BBBマイナス」以上の格付けが与えられているものに限られる。今回の措置により、4月7日時点で同レベル以上に格付けされていた債券であれば、その後に投資不適格級に格下げされても、投資適格級の2段階下の「BB」までなら担保として受け入れる。2021年9月まで適用する。

ユーロ圏では新型コロナ危機で経済が停滞し、社債や国債の信用力低下が懸念されている。とくにイタリア国債は、近く投資不適格級に格下げされるとの見方がある。ECBは3月、新型コロナウイルスの感染拡大で揺れるユーロ圏経済を下支えするため、「TLTRO」と呼ばれる長期資金供給オペ(金融機関が融資を増やすことを条件に長期資金を供給するオペ)を拡大し、最低でマイナス0.75%という低利で銀行に長期資金を融通することを決めたが、銀行の適格担保が枯渇すれば十分に機能しなくなる。一部のジャンク債の受け入れによって、こうした問題の解消を図る。

ECBは7日に開いた緊急政策理事会で、担保基準の緩和を決定。銀行が持つ資産のうち、信用力が低い零細事業者などに提供した融資の債権など、幅広い資産を担保として受け入れることになった。投資不適格級となっているギリシャ国債も特例的に担保となる。今回の決定によって銀行の担保余力がさらに増え、ECBから資金を調達しやすくなり、融資力が強化される。

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