キール世界経済研究所(IfW)は8日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて急速に悪化したドイツ経済が底を打ったとの見方を発表した。感染拡大防止策の緩和が奏功しており、ガブリエル・フェルバーマイル所長は「少なくとも現在は状況が悪化していない」と述べた。同じことはドイツよりも感染危機が深刻で制限措置が厳しかったイタリアとスペインにも当てはまるという。
IfWによると、ドイツの経済水準は営業などの制限措置が最も厳しかった3月23日から4月19日までの期間、平年を15~20%下回っていた。同措置が長引くほど下落幅は大きくなっていたという。
4月20日に制限緩和が始まってからは国内の電力消費が平年を7~8%下回る水準で推移している。IfWはこれを根拠に、工業生産が下げ止まっていると指摘。同生産は現在、平年より10~12%低い水準にあるとの見方を示した。
イタリアとスペインでは電力消費量がピーク時に最大25%減少し、工業生産は35~40%落ち込んだ。制限措置が緩和された現在は状況が改善しているという。