モバイルバンキングサービスを手がける独新興企業N26(ベルリン)は5日、現在行っているシリーズDラウンドの資金調達額が1億ドル増えて5億7,000万ドルとなったことを明らかにした。投資家との交渉は新型コロナ危機の発生後も順調に進み、既存の主要出資者はすべて、追加投資を行うことを決めたという。同社は声明で「これはN26とそのビジョンに対するこれら投資家の信頼を示すものだ」と強調した。
同行は追加取得した1億ドルを商品開発の加速と中核市場での事業拡大に投じる。声明では65歳以上の世代が決済の20%をオンラインで行っていることを指摘。これらの消費者層のニーズに見合った商品を迅速に市場投入する考えを示した。
N26はこれまで、事業の拡大を最優先してきたが、英国市場からの撤退をきっかけに、すでに進出した主要市場の事業を拡大する方針へと転換。ブラジル市場への進出時期を当初予定の今年から来年以降へと延期した。
同社は英国の欧州連合(EU)離脱に伴い現地で金融サービスを提供できなくなるとして、同国事業を4月中旬に打ち切った。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙によると、これは表向きの理由に過ぎず、本当の理由は市場開拓コストが高く、利益率見通しが低いことにあったという。
N26は2013年設立のフィンテックで、現在は欧州24カ国と米国で事業を展開している。顧客数は500万人強。これまでに投資家から調達した資金の総額は7億7,000万ドルに上る。