独電気電子工業会(ZVEI)は8日、独電機業界の景況感が4月に一段と悪化したことを明らかにした。新型コロナウイルスの感染拡大と感染防止策が反映された格好だ。
電機業界の景況感指数は現状判断を示す指数と今後の見通しを示す期待指数の中央値。4月は前月のマイナス18.5からマイナス44.8へと26.3ポイント落ち込んだ。期待指数(今後6カ月の見通しが「良い」とする回答の割合から「悪い」とする回答の割合を引いた数=DI)がマイナス30.3ポイントから過去最低のマイナス64.5ポイントへと下落。現状判断指数(現状を「良い」とする回答から「悪い」とする回答を引いた数=DI)もマイナス5.8ポイントからマイナス22.2ポイントへと低下した。
景況感指数は計15部門すべてでマイナスとなった。マイナス幅が最も大きかったのは前月に引き続き通信機器(62.2ポイント)で、これに照明機器(60.9ポイント)、電気駆動装置(60.2ポイント)、鉄道車両(58.6ポイント)が続いた。マイナス幅は最も小さい情報機器でも7.2ポイントに上った。
今後3カ月の輸出見通しを示す指数(DI)も前月のマイナス12.6ポイントからマイナス60.0ポイントへと悪化し、過去最低を更新した。通信機器ではすべての企業が「見通しが悪い」と回答しており、マイナス幅は100.0ポイントに達した。マイナス幅はこのほか娯楽家電(83.3ポイント)、照明機器(74.9ポイント)、スイッチ・開閉装置・産業用制御機器(73.8ポイント)、エネルギー機器(71.0ポイント)で特に大きかった。同指数が最も高かったのは鉄道車両(0.0ポイント)で、すべての企業が「見通しは変わらない」と回答した。
4月の生産計画(先行き3カ月)で「拡大」を予定する企業の割合は前月の15.9%から4.2%へと減少した。「縮小」は同27.5%から65.7%へと増えており、「拡大」と「縮小」の差(DI)は前月のマイナス11.9ポイントからマイナス63.3ポイントへと悪化した。同DIのマイナス幅は鉄道車両の100.0ポイントが最大。白物家電(96.1ポイント)、娯楽家電(83.3ポイント)も電機業界の平均を大きく上回った。同指数はすべての部門でマイナスとなった。
一方、電機業界の3月の新規受注高は前年同月比で9.2%減少した。ユーロ圏(ドイツを除く)からの受注が15.8%、国内が同10.3%後退。ユーロ圏外は3.6%減と減少幅が比較的小さかった。
1~3月の新規受注は前年同期比5.1%減で、内訳は国内が7.4%減、ユーロ圏が7.1%減、ユーロ圏外が0.8%減だった。
3月の業界生産高は物価調整後の実質で前年同月を5.7%割り込んだ。1~3月も前年同期比で2.9%縮小している。
3月の業界売上高は159億ユーロで、前年同月を6.4%下回った。ユーロ圏が12.0%減少。国内は4.3%減、ユーロ圏外は5.8%減だった。
1~3月の売上高は453億ユーロで、前年同期から3.4%減少した。すべての地域で縮小。国内は3.7%減、ユーロ圏は4.6%減、ユーロ圏外は2.3%減だった。