自動車大手の独ダイムラー(シュツットガルト)は5月26日、商用車子会社ダイムラー・トラックがエンジン大手の英ロールスロイスに燃料電池セルを供給することで基本合意したと発表した。ダイムラー・トラックがスウェーデン同業のボルボ・グループと共同開発する製品をロールスロイスの定置用緊急発電機向けに提供する。年内の最終合意を目指す。
停電時などに用いる定置用緊急発電機にはこれまでディーゼルエンジンが用いられてきた。ロールスロイスはこれを、水素を用いる燃料電池に切り替えることで二酸化炭素(CO2)を排出しないものへと切り替えていく。ダイムラーから調達するセルの搭載製品を傘下のMTUブランドで開発・販売する意向だ。
ダイムラー・トラックとボルボは4月下旬、燃料電池システム事業を合弁花することで基本合意した。折半出資の合弁会社を独キルヒハイム・ウンター・テック市ナーベルン地区に設立する。ダイムラーは燃料電池事業を新会社に持ち寄り、ボルボは6億ユーロの資金を拠出。大型トラックやその他の分野向けの燃料電池の開発と量産を共同で行い、2020年代後半に大型燃料電池トラックを量産できるようにする目標だ。年末までの最終合意を見込んでいる。
定置用途の燃料電池システムは、公道を走行するがゆえに事故を想定しなければならないトラックなどに比べ安全対策が立てやすい。このためダイムラーは車載品よりも早期に量産が実現するとみている。