独化学工業会(VCI)は5月27日、独業界(製薬を含む)の今年の生産・売上予測を取り下げた。新型コロナ危機を受けて深刻な経済恐慌に陥る見通しが高まっているためだ。第1四半期(1~3月)の業界の業績は良好だったものの、クリスティアン・クルマン会長は、コロナの影響は今後強くなってくると指摘。「2020年は厳しい年になる」との見方を示した。
VCIは当初、今年の生産高と売上高が前年比でともに0.5%増加するとの予測を提示していた。だが、新型コロナの感染拡大を受けて3月に生産高予測を1.5%減へと下方修正。今回は「生産高と売上高がともに大きく落ち込む」へと引き下げた。景気の先行きが読めないことから、具体的な減少幅の提示を控えている。
VCIが加盟企業を対象に今月、実施したアンケート調査では、「欧州売上が今年、減少する」との回答が75%に達した。51%が大幅な売上減を予想。増収を見込むのは11%にとどまった。
第1四半期の業界生産高は前期比で3.2%増加した。新型コロナの感染拡大を受けて医薬品、衛生用品、包装材料の需要が伸びたことが大きい。出荷価格は平均0.2%上昇した。
業界売上高は495億ユーロで、前期を0.6%上回った。国内売上が3.3%増加し、全体を強く押し上げた格好。国外は新型コロナが足かせとなり0.8%減少した。