独電気電子工業会(ZVEI)が8日発表した独業界の5月の新規受注高は前年同月比27.9%減となり、下げ幅は前月の同20.8%から一段と拡大した。国外受注が30.0%後退。ユーロ圏(ドイツを除く)は32.2%落ち込んだ。ユーロ圏外は28.7%減、国内は25.5%減だった。
1~5月の新規受注高は前年同期を11.8%下回った。国内が12.2%、国外が11.4%縮小。国外ではユーロ圏が16.2%減と減少幅が特に大きかった。ユーロ圏外は8.6%減だった。
5月の業界生産高は物価調整後の実質で前年同月を21.7%割り込んだ。1~5月も前年同期比で9.2%減少している。
6月の生産計画(先行き3カ月)で「拡大」を予定する企業の割合は前月の8.9%から17.3%へ増えた。「縮小」が同46.0%から27.4%へと大きく減ったことから、拡大から縮小を引いた数(ディフュージョン・インデックス=DI)はマイナス38.1ポイントからマイナス10.4ポイントへと改善した。
同DIを部門別でみると、娯楽家電(+50.0ポイント)、通信機器(+39.1ポイント)、白物家電(+28.1ポイント)、情報機器(+15.8ポイント)、スイッチ・開閉装置・産業用制御機器(+5.2ポイント)、医療機器(+4.0ポイント)、照明(+3.1ポイント)の7部門はプラスとなった。新型コロナ危機で落ち込んだ生産が底を打ったことがうかがわれる。マイナスとなったのは7部門。マイナス幅は計測機器・プロセスオートメーション(-42.6ポイント)、ケーブル(-39.3ポイント)、電気駆動装置(-30.2ポイント)で特に大きかった。
5月の業界売上高は125億ユーロで、前年同月を22.4%下回った。ユーロ圏が29.7%、国内が20.8%、ユーロ圏外が19.8%の幅で落ち込んだ。
1~5月の売上高は708億ユーロで、前年同期を9.4%割り込んだ。ユーロ圏が12.4%、国内が9.1%、ユーロ圏外が7.7%減少した。
6月の業界景況感指数(現状判断指数と期待指数の中央値)は前月のマイナス38.6からマイナス24.1へと上昇し、2カ月連続で改善した。期待指数(今後6カ月の見通しが「良い」とする回答から「悪い」とする回答を引いた数=DI)がマイナス37.6ポイントからマイナス5.7ポイントへと大幅に改善したことが大きい。現状判断指数(現状を「良い」とする回答から「悪い」とする回答を引いた数=DI)はマイナス36.0ポイントからマイナス40.7ポイントへと悪化した。
景況感指数は白物家電(+19.4)と医療機器(+19.2)の2部門でプラスとなった。
同指数が特に振るわなかった部門は娯楽家電(-50.9)、照明(-38.1)、計測機器・プロセスオートメーション(-35.4)、通信機器(-30.4)、電子部品(-30.1)。娯楽家電は期待指数、そのほかの4部門は現状判断指数が足を強く引っ張った。
今後3カ月の輸出見通しを示す指数(DI)も前月のマイナス41.4ポイントからマイナス12.4ポイントへと上昇し、2カ月連続で改善した。計15部門のうち通信機器(+100.0ポイント)、情報機器(+8.1ポイント)、照明(+8.0ポイント)、白物家電(+1.6ポイント)の4部門がプラスとなっている。