三菱自動車―独市場に新型車投入、欧州戦略を部分修正―

三菱自動車が欧州市場への新規商品投入を凍結するとした方針を部分修正したもようだ。独法人MMDオートモービルのコルヤ・レープシュトック社長はディーラー500社向けのビデオメッセージで、クロスオーバーSUV「エクリプス クロス」の新型車を来年1月から独市場で販売することを明らかにした。新型車の投入により、三菱自が長期的に欧州から撤退するという懸念はやや和らいだ格好で、ディーラーは将来に対しささやかながら希望を持てるようになった。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。

同社は7月下旬に中期経営計画を発表し、事業の集中と選択を通して収益力を向上させる方針を打ち出した。東南アジアを事業中核地として経営資源を集中する一方で、欧州では新型車の投入を凍結するというものだ。二酸化炭素(CO2)排出規制を順守できない自動車メーカーに制裁金を課すルールが来年から欧州連合(EU)で導入されることを踏まえた措置だ。メーカーはEU市場での年販売台数に応じ、排出許容上限(走行1キロメートル当たり95グラム)を1グラム超過するごとに1台当たり95ユーロの制裁金を課させることになっている。三菱自はこの規制が施行されると利益確保の見通しが立たないことから、実質的に将来の欧州撤退を意味する新規商品投入凍結決定を下していた。

同社が来年、独市場に投入する新型エクリプス・クロスはプラグインハイブリッド車(PHV)だ。PHVであればEUのCO2排出規制を順守でき、欧州で販売しても足かせにならない。

現時点では同モデルをドイツ以外の欧州で販売する計画はない。同国は三菱自にとって欧州最大の市場で、現地販売の3分の1を占める。

レープシュトック社長はまた、1~8月の独販売台数が前年同期比9.3%減の3万2,656台となったことにも言及。新型コロナ危機の直撃を受けて独市場が28.8%縮小するなかで、減少幅が約9%にとどまったことに大いに満足できると明言した。