ライフサイエンス大手の独バイエル(レバークーゼン)は9月30日夜、追加コスト削減方針を発表した。新型コロナ危機で市場環境が悪化したためと説明している。同社は除草剤「グリホサート」をめぐる米国の巨額訴訟の収束が最近ようやく見通せるようになってきたばかり。財務の新たなマイナス情報を発信したことから、1日の株価は急落した。
バイエルは2018年11月に発表した競争力強化計画のなかで、22年からコストを年26億ユーロ圧縮する方針を打ち出した。今回さらに24年以降、年15億ユーロ以上を追加削減する考えを表明しており、合計の削減額は41億ユーロを超えることになる。新たな削減で浮いた資金を新製品への投資や債務圧縮に充てる意向だ。
農業化学部門がコロナ禍の影響を特に強く受けている。主要農産物の価格低下やバイオ燃料需要の減少、ブラジル通貨レアルの下落など為替差損が業績を押し下げているためで、バイエルは同部門で十億ユーロのケタ台の半ばから後半の評価損を計上する。
コスト削減に向けては人員整理を視野に入れている。周辺事業・ブランドの売却も検討する。