バイエル―細胞・遺伝子治療の米アスクバイオを買収―

ライフサイエンス大手の独バイエル(レバークーゼン)は26日、米製薬会社アスクレピオス・バイオファーマシューティカル(アスクバイオ)を買収すると発表した。細胞・遺伝子治療分野のノウハウを強化するとともに、特許切れによる製品ポートフォリオの減少を相殺する狙い。独禁審査を経て買収手続きが10-12月期(第4四半期)中に完了すると見込んでいる。

アスクバイオを最大40億ドルで買収する。まずは20億ドルを支払い、目標の達成度に応じて最大20億ドルを上乗せする。上乗せ分のうち約75%(15億ドル)は5年以内に支払う見通し。アスクレバイオは買収後も独立企業にとどまる。

アスクレバイオはアデノ随伴ウイルス(AVV)というウイルスをベクター(運び屋)として用いる治療薬の有力企業。パーキンソン病などの神経筋疾患や、心臓・循環器系疾患、代謝性疾患の治療薬を開発している。

バイエルの特許薬部門は現在、堅調を保っているものの、今後は稼ぎ頭の製品の特許が相次いで失効することから、2020年代には同部門の売上高が60億ユーロ以上、目減りする恐れがある。同社が開発中の製品でその穴を埋めるのは不可能であるため、提携や買収を通して開発パイプラインを補充する方針を18年11月に打ち出した。