SAP―コロナ禍で業績予測引き下げ―

企業向けソフト世界最大手の独SAP(ヴァルドルフ)は25日、2020年12月期の業績見通しを引き下げた。下方修正は4月に次いで2度目。コロナ禍の影響で顧客企業が投資を抑制していることが響いており、同社は中期目標の達成時期が遅れる見通しも明らかにした。

SAPは新型コロナウイルス感染症が世界的に流行したことを受けて20年の営業利益(為替変動の影響を除いた調整済みベース)予測を4月に「81億ユーロ~87億ユーロ」へと引き下げた。今回これをさらに「81億~85億ユーロ」へと下方修正。売上高についても「278億~285億ユーロ」から「272億~278億ユーロ」へと引き下げた。

同社は新型コロナ危機が少なくとも来年上半期(1~6月)まで続くと予想している。また、コロナ禍を受けて打ち出したクラウド事業の加速方針に伴い利益率が圧迫されることもあり、今回、23年の売上高営業利益率(調整済みベース)を18年比およそ5ポイント増の約34%に引き上げるなどとした中期目標の達成時期が1~2年、後にずれ込む見通しも明らかにした。新たに提示した25年目標では売上高で360億ユーロ超、営業利益(同)で115億ユーロ超を設定。クラウドは売上高を220億ユーロ超に引き上げ、ライセンス事業に代わる最大の事業とする意向だ。

同日発表した20年7-9月期(第3四半期)の売上高(同)は前年同期比横ばいの65億3,500万ユーロ、営業利益(同)は4%増の20億6,900万ユーロだった。為替の影響を含む名目ベースでは売上高が4%、営業利益が1%落ち込んだ。

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