ミュンヘンを州都とする独南部のバイエルン州政府は12日、通常のマスクに比べ感染防止効果の高いFFP2マスクの着用を義務化すると発表した。新型コロナウイルスの感染者数が高止まりしているうえ、感染力の高い英国種などが出現し感染が一段と広がりやすい状況となっていることを踏まえた措置。公共交通機関と小売店の利用者は週明けの18日から同マスクを着用しなければならなくなった。
小売店や公共交通機関の利用者にマスク着用を義務付けるルールはドイツ全国で義務付けられている。ただ、通常のマスクには感染者が他人を感染させるリスクを引き下げる効果はあるものの、呼吸を通してウイルスが体内に入ることを防ぐ機能はないことから、感染拡大の防止効果に限界がある。FFP2マスクはフィルター機能が高いことから、ウイルス感染の防止効果が高い。
バイエルン州のマルクス・ゼーダー首相は、FFP2マスクは薬局や通販で簡単に購入できるとして、着用を義務化しても問題はないとの認識を示した。これに対しては、着用が義務化されれば需要が急増して供給不足に陥るとの指摘があり、FFP2マスクを入手できない市民が出る恐れがある。事実、発表翌日の13日にはネット通販や全国各地のドラッグストアで売り切れが相次いだ。
また、FFP2マスクは1枚数ユーロと安くないうえ、洗濯して繰り返し使うこともできないことから、低所得層にとっては負担が重すぎるという問題もある。
バイエルン以外では人口当たりの感染者数が特に多いザクセン州がFFP2マスクの着用義務導入に前向きだ。同州のペトラ・ケッピング保健相はバイエルンと同様の措置を検討すると述べた。
他の多くの州は否定的・懐疑的な立場を示している。ニーダーザクセン州政府報道官は、州内の全員が無料で入手できない限り義務化は検討しないとの立場を表明した。金融都市フランクフルトを抱えるヘッセン州は現時点で義務化の計画はないとしている。
ただ、FFP2マスクの着用義務がバイエルン州で効果を上げれば他の州が次々と追随する可能性は排除できず、他州でも市民が買いだめを始めている。