独スタートアップの資金調達件数6%増に

独スタートアップ企業の資金調達件数が2020年は743件となり、前年を6%上回ったことが、コンサルティング大手アーンスト・アンド・ヤング(EY)の調べで分かった。コロナ禍という向かい風のなかでこれまでの増加傾向が継続された。

資金調達総額は15%減の52億7,200万ユーロへと縮小した。減少は5年ぶり。1億ユーロ超の大型投資の件数が前年の13件から8件に減ったことが響いた格好だ。

資金調達件数が最も多かった州はベルリンで、314件に達した。全体の42%を占める。2位はバイエルンの176件。3位以下はノルトライン・ヴェストファーレン(62件)、ハンブルク(46件)、バーデン・ヴュルテンベルク(34件)が続いた。

ベルリンは資金調達額も断トツで大きく、30億5,900万ユーロに上った。シェアは58%。バイエルンは2位で15億900万ユーロ(シェア29%)。両州だけでドイツ全体の87%を占めた。

資金調達額が最も多かった部門はモビリティで、11億5,800万ユーロに上った。2位はソフトウエア・アナリティクスで10億4,000万ユーロ、3位はeコマースで9億7,600万ユーロ、4位は健康で6億7,000万ユーロ。フィンテック/インシュアテックは前年の13億1,500万ユーロから5億5,200万ユーロへと激減し、2位から5位に転落した。

資金調達件数ではソフトウエア・アナリティクスが断トツで多く、232件に達した。1件当たりの調達額は少ない。2位は健康(109件)、3位はeコマース(98件)、4位はモビリティ(58件)、5位はフィンテック/インシュアテック(54件)となっている。

調達額の規模別では500万ユーロ以下が圧倒的に多く、全体の76%に当たる562件に達した。500万~1,000万ユーロは68件、1,000万~5,000万ユーロは85件、5,000万~1億ユーロは14件、1億ユーロ超は8件だった。

資金調達額が最も大きかった企業は中高車販売仲介サイトのアウト・アインツ・グループで2億5,500万ユーロ(7月)に達した。2位は空飛ぶクルマのリリウムで2億1,800万ユーロ(3月)、3位は電動キックボードレンタルのティーア・モビリティで2億1,200万ユーロ(11月)、4位はスマートフォンやタブレット端末など電子機器を1カ月単位でレンタルするグローバーで1億9,500万ユーロ(1月)、5位は有機栽培したハーブや野菜をレストランなどに直販するインファームで1億4,400万ユーロ(9月)。上位3件をモビリティ部門が占めている。

モビリティ部門の詳細をみると、資金調達額が最も多い分野はアビエーションで3億6,600万ユーロに上った。その60%をリリウムが占める。2位は電動キックボードで2億7,800万ユーロ、3位は旅行・レジャーで2億5,500万ユーロ、4位は自動車で1億4,800万ユーロ、5位は物流で1億100万ユーロだった。

ソフトウエア・アナリティクス部門ではSaaS(サービスとしてのソフトウェア)が7億2,200万ユーロと、全体の69%を占めた。2位人工知能(AI)は1億5,100万ユーロ、3位データ分析は8,600万ユーロ、4位サイバーセキュリティは5,100万ユーロ、5位ブロックチェーンは2,000万ユーロにとどまった。

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