米製薬大手ファイザーと独バイオ企業ビオンテックは15日、共同開発した新型コロナウイルス用ワクチンの欧州への出荷を一時的に減らすと発表した。量産体制の強化に向けてベルギー工場での生産を一時縮小するためだが、ワクチン接種が遅れている欧州連合(EU)諸国からは予定がさらに狂うと批判の声が出ている。
EUはファイザー連合と最大3億回分のワクチンを調達する契約を締結済み。各国は12月末から接種を開始している。
両社によると、新型コロナワクチンの年産能力を13億回分から20億回分に引き上げるのに伴い、ファイザーがベルギーのプールスで運営する工場を増強するため、1月末から2月初めにかけて欧州に予定通り供給できなくなる。2月末から出荷を大幅に増やすことができるという。
これについてEUでは、スウェーデンとデンマーク、フィンランド、リトアニア、ラトビア、エストニアの6カ国の保健相が同日、欧州委員会に「出荷の遅れは受け入れられない」とする抗議文を共同で提出。「ワクチン接種計画に影響を及ぼすだけでなく、接種のプロセスに対する信頼が損なわれる」として、ファイザーとビオンテックの対応を批判した。