独が経常黒字1位から転落、中国のパソコン・マスク輸出急増で

Ifo経済研究所は22日、ドイツの経常黒字が昨年は2,610億ドル(2,280億ユーロ)となり、前年を130億ドル下回ったとの独自調査結果を発表した。コロナ禍が反映された格好。中国が1,700億ドル増の3,100億ドルへと急拡大したことから、ドイツは中国に抜かれ経常黒字世界1位から5年ぶりに転落した。日本は1,580億ドルで、前年の2位から3位へと低下した。

ドイツの経常黒字が減少したのは貿易収支の黒字幅が340億ドル後退したため。欧州、米国、アジアへの輸出が軒並み落ち込んだ。国外旅行の減少を受けてサービス収支の赤字幅は220億ドル縮小したものの、貿易黒字減少の穴を相殺するには至らなかった。

中国はコロナ特需で輸出が拡大した。特にコンピューター製品やマスクの輸出が大きく伸びた。

米国は経常赤字が1,550億ドル増の6,350億ドルへと拡大し、これまでに引き続き最大の経常赤字国となった。貿易赤字が400億ドル以上、増加。対米旅行の減少が響いてサービス収支の黒字幅は550億ドル以上、縮小した。また、国外の有価証券と外国直接投資から得られる収入が減ったことから、第1次所得収支も500億ドル目減りした。

経常赤字2位は英国(910億ドル)、3位はフランス(640億ドル)だった。

経常黒字の対国内総生産(GDP)比率をみると、ドイツは6.9%だった。前年の7.1%からやや縮小したものの、水準は依然として高く、同国に対する欧州連合(EU)や米国、国際通貨基金(IMF)からの黒字削減圧力は今後も続く見通しだ。

日本の同比率は3.2%で、中国は2.1%だった。米国は経常赤字の対GDP比率が3.1%、英国は同3.6%、フランスは2.9%となっている。

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