職場支給のマスク着用を拒否できるか

従来の新型コロナウイルスに比べ感染力の高い変異種が出現し、政府は神経を尖らせている。職場でも事情は同じで、勤務中にマスクの着用を義務付けるケースが増えているもようだ。では、雇用主から支給されたマスクの着用を被用者は拒否できるのだろうか。この問題を巡る係争でベルリン労働裁判所が昨年10月に判決(訴訟番号:42 Ga 13034/20)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は空港セキュリティ業務を担当する被用者が雇用主を相手取って起こしたもの。被告は原告を含む被用者全員にマスクを支給し勤務中の着用を義務付けた。これに対し原告は健康上の問題を理由にフェイスシールドの着用を認めるよう要求し、提訴した。

ベルリン労働裁判所は原告の訴えを退けた。判決理由で裁判官は、被告には被用者と空港利用者を感染から守る義務があると指摘。フェイスシールドはマスクに比べ他人を感染から守る機能が低いとして、原告にはマスクの着用義務があるとの判断を示した。原告が主張した健康上の理由については根拠が不十分だと言い渡した。

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