フレゼニウス―コスト削減へ、コロナ禍が業績圧迫―

総合医療大手の独フレゼニウスは2月23日の決算発表で、収益力の強化方針を打ち出した。コロナ禍は医療企業の追い風になるという市場の見方とは裏腹に業績の大きなリスク要因となっていることから、逆風のなかで成長できる体制を整える。具体策は今春に明らかにする意向だ。

コロナ禍の影響を最も強く受けているのは主力の人工透析部門フレゼニウス・メディカル・ケア(FMC)だ。人工透析患者は免疫力が弱く、FMCではラテンアメリカの患者が多数、感染死。これにより患者数が減ったことから、最終四半期の10-12月期に1億9,500万ユーロの評価損を計上した。この傾向は今後も続く見通しのため、同社は在宅透析事業を強化する意向だ。

病院部門ヘリオスもコロナ患者用のベッドを確保する政策のしわ寄せで緊急性のない手術の先送りを余儀なくされた。入院患者の減少は点滴薬部門カービの業績も押し下げた。

2020年12月期決算の純利益は17億9,600万ユーロとなり、前期を4%下回った。シュテファン・シュトルム社長は、コロナの影響がなければ利益を拡大できたと明言した。売上高は2%増の362億7,700万ユーロ、営業利益(EBIT、調整済み)は2%減の46億1,200万ユーロで、売上高営業利益率は前期の13.2%から12.7%へと低下した。

21年12月期は為替変動を除いたベースの売上高で1ケタ台前半~半ばの増加、純利益で横ばいないし増益を見込む。新型コロナ用ワクチンの接種率上昇に伴い、下半期から状況が改善すると予想している。

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