電池セルで欧州自立、25年には生産能力10倍に

欧州で製造する電動車向けの電池セルを同地で調達できる見通しが高まってきた。持続可能な交通の実現を目指す非政府組織(NGO)の連合である欧州運輸環境連盟(T&E)が独自調査で明らかにした。これまではアジアからの輸入にほぼ全面的に依存していた。同調査を入手した独『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が1日付で報じた。

それによると、欧州で現在、計画・建設されている巨大電池セル工場(ギガファクトリー)の数は22カ所に上る。これらの工場が操業を開始する結果、同地の電池生産能力は現在の49ギガワット時(GWh)から25年には約10倍の460GWhへと拡大する。2030年には10万人の雇用が創出され、エンジン生産分野で減少する雇用の少なくとも一部を相殺できる見通しだ。

25年時点で欧州が持つ生産能力のうち約半分はドイツの工場が占める。同国では電気自動車(EV)メーカーの米テスラがブランデンブルク州、フォルクスワーゲン(VW)とノースボルトの連合がザルツギター市、仏PSAと独子会社オペル、仏サフトの連合がカイザースラオターン市、中国企業の寧徳時代新能源科技(CATL)がエアフルト市、蜂巣能源科技(SVOLT)がザールラント州にそれぞれセル工場を建設する計画だ。欧州生産能力2位はポーランドで、以下ハンガリー、ノルウェー、スウェーデン、フランスが続く見通し。

同国の電動車販売台数は購入補助金の拡大が奏功し昨年、260%増加した。中国に次ぐ世界2位の市場となっている。

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