独連邦議会(下院)は5日、乗客輸送法(PBefG)近代化法案を与党キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)、社会民主党(SPD)、および野党の緑の党の賛成で可決した。同法案はデジタル技術を利用した新しい移動サービスの登場を踏まえたもので、その普及を促進するとともに、タクシーと地域公共交通機関を過度な競争から保護することが狙い。与党に加え緑の党も支持していることから法案は連邦参議院(上院)でも可決され施行される見通しだ。
移動市場では近年、アプリを利用した配車や相乗りなど新しいサービスが出現し、消費者の利便性が高まっている。だが、そうしたサービスはタクシーなど従来型のサービスを掘り崩しかねないことから、政府は新サービスのメリットとリスクを踏まえて法案を作成した。
法案が施行されると、これまで試験プロジェクトとして例外的に認められてきたライドシェアは法的な根拠を与えられ、運輸事業者は予め定められたルートがなくても乗り合いサービスを提供できるようになる。
一方、「ウーバー・ブラック」などアプリを通して提供されるハイヤー手配サービスについては、各輸送サービスの終了後に一度、事業拠点に戻らないと次のサービスを提供できないという現行ルールが原則的に据え置かれた。法案を作成した連邦交通省は当初、同規制を廃止しようとしたが、タクシー業界の反発を受けて修正。同規制を基本的に維持したうえで、市当局の判断で緩和できるようにした。市が「待機ゾーン」を設定した場合は、待機ゾーンまで戻ればハイヤーは次のサービスを提供できるようになる。これにより、事業拠点まで戻る場合に比べ負担が軽減される。
タクシーはハイヤーと違って料金など多くの点で規制を受けていることから、運転手は出先で新たな顧客を乗せることが認められている。