エネルギー大手RWEや石油大手BPなど独・欧州の7社は9日、国境をまたぐ水素プロジェクトを発表した。再生可能エネルギーを用いたグリーン水素の生産から輸送、貯蔵、利用までをカバーした包括的なインフラを構築する方針。欧州連合(EU)の「欧州の共通利益に適合する重要プロジェクト(IPCEI)」の枠組みでドイツ政府に補助金を申請する意向だ。
グリーン水素や産業プロセスで発生する水素の活用などに取り組むドイツの産学連携イニシアチブ「GET H2」に加盟するRWE、BP、エボニック(化学)、ノヴェガ、OGE、ティッセンガス(以上パイプライン運営)、ザルツギター(鉄鋼)の7社がコンソーシアムを組んでプロジェクトを実施する。
まずはRWEが独北西部のリンゲン発電所内で風力発電を利用しグリーン水素を生産。2024年から同地とゲルゼンキルヒェンにあるBPの製油所などにパイプラインで供給する。パイプラインの大半は既存のガスパイプラインを転用する意向だ。
25年にはパイプライン網をオランダにも広げ、水素を国際的に取引できる体制を構築。26年には蘭国境に接する独グロナオ市エペ地区にRWEが水素貯蔵施設を開設し、水素需給を調整できるようにする。
同計画ではさらに、30年までにパイプラインを独北部のザルツギターまで延長。同地にあるザルツギター社の鉄鋼工場に水素を供給する。
プロジェクトには将来的に交通セクターのパートナーなども参加する予定だ。