同僚をトイレに故意に閉じ込める行為は即時解雇に値する――。ジークブルク労働裁判所がそんな判決(訴訟番号:5 Ca 1397/20)を2月に下したので、今回はこれを取り上げてみる。
裁判は倉庫勤務の被用者が雇用主を相手取って起こしたもの。原告は同僚Aと頻繁にもめ事を起こしていた。
原告はある日、トイレに入ったAをトイレから出られなくした。トイレは内側にカギが差し込まれているタイプのものだった。原告はカギの真下の床上にトイレの外側から用紙をひそかに入れ置いたうえで、カギ穴に細い棒を突っ込んでカギを用紙の上に落とし、用紙を手元に引いてカギを奪い取った。
Aはしばらく外に出られず、最終的に取っ手を踏み台にして上から脱出することを余儀なくされた。被告はこれを受け、2020年6月18日付で原告に即時解雇を通告。原告はこれを不当として提訴した。
一審のジークブルク労裁はこの訴えを棄却した。判決理由で裁判官は、同僚の自由を奪うことは労働契約で取り決められた義務への重大な違反に当たると指摘。重大な理由がある場合は即時解雇が認められるとした民法典(BGB)626条の規定に基づく解雇は妥当だとの判断を示した。