国と州が取り決めたコロナ規制に基づくザールラント州の小売店規制は不当として家電販売店が差し止めを求めていた係争でザールルイ高等行政裁判所は9日、この訴えを認める仮処分決定を下した。州政府が抗告を断念したことから、同州では新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための小売店規制が緩和された。
メルケル連邦首相と国内16州の首相は3日のテレビ会議で、本屋、花屋、園芸センターの店舗営業を8日から感染者数の多少にかかわらず認めることを取り決めた。これらの小売店を食料品店などと同様、生活必需品を取り扱う事業者へと「格上げ」した格好だ。生活必需品以外を販売する小売店については、より多くの制限措置を条件に営業再開を認めることにした。
ザールラント州政府はこの合意に基づき、生活必需品以外の小売店に◇事前予約のない顧客の入店を禁止する◇同時に入店できる顧客の数を売り場面積40平方メートル当たり1人ないし同一家族の2人――という制限を課した。本屋などでは事前予約が不要なうえ、顧客数も15平方メートル当たり1人と優遇されていたことから、原告の家電販売店は不当な差別に当たるとして裁判を起こした。
ザールルイ高等行政裁は決定理由で、花や本は生活必需品とは言えないとして、これらの商品を取り扱う小売店の優遇は不当な差別に当たるとの判断を示した。この決定により、同州では事前予約がなくてもあらゆる小売店に入店できるようになったほか、入店者数規制も緩和された。