21年成長率3.1%に下方修正、ロックダウン長期化受け=5賢人委

政府の経済諮問委員会(通称:5賢人委員会)は17日に発表した春季『景気予測』で、2021年の独国内総生産(GDP)予測を引き下げた。新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けて昨年11月に導入したロックダウン(都市封鎖)が長期化しているため。鉱工業生産の拡大が続きドイツ経済は力強さを保っているとしながらも、店舗営業の制限を受けて個人消費が振るわないことから、前回予測(11月)の実質3.7%増から3.1%増へと下方修正した。

前回予測からの下げ幅が最も大きかったのは個人消費で、3.4%からマイナス0.3%へと3.7%引き下げられた。設備投資も2.7ポイント減の7.3%に下方修正されている。

一方、輸出は10.7%へと3.1ポイント引き上げられた。世界経済の回復を受けて製品輸出は大幅に伸びる見通しだ。GDP成長率3.1%に対する外需(輸出-輸入)の寄与度は2.0ポイントに達する。

ロックダウンの長期化を受けて1-3月期はGDPが前期比で実質およそ2%低下し、マイナス成長へと落ち込む。ただ、ワクチンの接種が進み市民の多くが免疫を獲得すれば、制限措置が緩和・廃止され、個人消費は急速に拡大する見通しで、5賢人委は今年末ないし来年初頭にはGDPがコロナ禍前の水準まで回復すると予想している。

22年についてはGDPが4.0%増加するとみている。個人消費が20年と21年の反動で9.6%拡大。設備投資も6.3%増と2年連続で大きく伸びる見通しだ。

インフレ率に関しては今年、大幅に上昇すると予想している。石油の国際価格上昇と、交通・暖房部門を対象に年初に導入された二酸化炭素(CO2)排出の有償化(カーボンプライシング)、新型コロナ危機対策で昨年7月に開始された付加価値税(VAT)率引き下げが12月末で打ち切られたことの3点が物価を強く押し上げる。1月のインフレ率(前年同月比)は1.0%となり、前月の同マイナス0.7%から1.7ポイント上昇。2月には1.3%へと上昇した。

今回の予測は感染第3波を回避できることを前提に作成された。現実には第3波が始まっていることから、今後の下方修正を排除できない。同委のフォルカー・ヴィーラント委員は「ドイツの景気の最大のリスク要因は感染第3波だ」と明言した。

上部へスクロール