欧州特許申請で韓中3社が上位独占、欧州勢は5位が最高

欧州特許庁(EPO)が16日発表した2020年の特許出願件数は18万250件となり、過去最高となった前年を0.7%下回った。コロナ禍が影響したもよう。出願者トップ3を前年に引き続き韓国と中国企業が占めており、欧州企業はエリクソン(1,634件)の5位が最高だった。

1位はサムスン(3,276件)で、6年ぶりに首位に返り咲いた。2位は華為技術(3,113件)で、トップから転落。LG(2,909件)は昨年同様3位となった。4位には米クアルコム(1,711件)が付けている。

エリクソン以外の欧州企業ではシーメンス(1,625件)が6位、ボッシュ(1,597件)が7位、フィリップス(1,419件)が9位、BASF(1,305件)が10位と、トップ10入りを果たした。シーメンスはシーメンス・エナジー(584件で30位)を分離したことから件数が大幅に減った。

日本企業はソニー(1,477件)の8位が最高。トップ50には同社とパナソニック(792件で17位)、三菱電機(647件で25位)、キヤノン(612件で27位)、日立(582件で31位)、東芝(419件で49位)の計6社が入っている。

中国勢は存在感が高まっており、華為技術とオッポ、小米科技、BOEテクノロジー、中興通訊の5社がトップ50に名を連ねた。

中国と韓国は出願件数もそれぞれ9.1%増の1万3,432件、9.2%増の9,109件と大きく伸びた。中国はバイオテクノロジー、電気機械・器具・エネルギー、デジタル通信分野、韓国は電気機械・器具・エネルギー、通信、半導体、コンピューター技術分野で出願が目立つ。

国別の出願ランキングではこれまでに引き続き米国(4.1%減の4万4,293件)が断トツで1位となった。2位はドイツ(3.0%減の2万5,954件)、3位は日本(1.1%減の2万1,841件)、4位は中国、5位はフランス(3.1%増の1万554件)、6位は韓国となっている。

新興国では伸び率が大きい国が多く、アラブ首長国連邦(44位)は65.1%増、スロベニア(37位)は35.2%増、サウジアラビア(26位)は34.1%増、スロバキア(50位)は31.0%増、トルコ(24位)は26.1%増を記録した。

上位10部門のなかで伸び率が最も大きかったのは医薬品(6位)で、10.2%増の8,589件を記録した。これにバイオテクノロジー(8位)が6.3%増の7,246件で続く。また、医療機器は2.6%増の1万4,295件となり、デジタル通信(1.0%増の1万4,122件)を抜いて首位を取り戻した。3位はコンピューター技術で1.9%増の1万3,097件だった。

輸送(5位)は5.5%減の9,020件と振るわなかった。航空宇宙分野で24.7%落ち込んだことが響いた。自動車は1.6%減だった。

人口100万人当たりの出願件数ではスイスが966件に達し、これまでに引き続き1位となった。2位はスウェーデン(434件)、3位はデンマーク(410件)、4位はオランダ(369件)、5位はフィンランド(340件)と欧州の小国が上位を占める。ドイツは324件で6位、イスラエルは194件で9位、韓国は177件で11位、日本は175件で12位、米国は133件で14位、シンガポールは99件で16位、台湾は57件で21位、香港は22件で29位となっている。中国はEPOが公表した上位30カ国のリストに入っていない。

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