VWなど10社が脱炭素に1000億ユーロ投資

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)やエネルギー大手の伊エネルなど欧州10社の社長が立ち上げた「欧州の復興・改革・回復力のためのCEOアライアンス」は19日にポジションペーパーを発表した。各社とその製品の脱炭素に向け2030年までに計1,000億ユーロを投資することが最大の目玉。個々のセクターを超えた包括的なカーボンプライシングの導入や、石炭発電を可能な限り早く廃止することも求めている。

同CEOアライアンスは50年までに域内の温室効果ガス排出を実質ゼロにすることを目指す欧州連合(EU)の総合的な環境対策「欧州グリーンディール」と、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて昨年、設立された。EUを温暖化防止で世界をリードする地域にし、投資・技術革新を加速させることを目指している。VWとエネルのほか、独エーオン、西イベルドローラ(エネルギー)、スイスのABB、仏シュナイダーエレクトリック(電機)、VWのスウェーデン商用車子会社スカニア、蘭化学大手アクゾノーベル、デンマーク海運大手マースク、独IT大手SAPの社長が名を連ねる。

単に提言を行うだけでなく、目標実現に積極的に取り組む方針で、自らを「アクション・タンク」と位置付けている。具体的な共同プロジェクトとして、EU全域をカバーするトラック向け充電インフラの構築、EUエネルギーシステムの統合、カーボンフットプリントのデジタル追跡、持続可能な建築物、電気バス、グリーン水素のバリューチェーン構築、欧州の電池製造拠点化に取り組む意向だ。

EUの欧州委員会とは効果の高い温暖化防止策の策定に向け緊密に意見を交換する。同委のフランス・ティーマーマンス第1副委員長(欧州グリーンディール政策総括、気候変動対策担当)は「欧州のグリーンな再生へのCEOアライアンスの誓約を歓迎する」と述べた。

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