製薬大手アストラゼネカが開発した新型コロナウイルス用ワクチンの接種を受けた人の一部で脳内に血栓ができたのは、特殊な抗体の働きが原因との見解を、独グライフスヴァルト大学のアンドレス・グライナッハー教授を中心とするチームが発表した。
ドイツでは約160万人が同ワクチンの接種を受け、そのうち13人で脳内に血栓が形成された。脳内から出ていく血液のたまり場である静脈洞という場所に血栓ができていた。
同チームによると、13人の血液からは特殊な抗体が検出された。この抗体は血小板に作用し、血液を凝固させる働きがあるという。
グライナッハー教授は、接種翌日に発症する風邪のような症状には問題がないが、約5日後に足に痛みが出たり頭痛がある場合は血栓症の疑いがあると指摘。すみやかに医師の診察を受けるよう注意を促した。
独血栓・止血協会は同チームの発表を受け、ワクチン接種後に血栓ができた患者には静注用免疫グロブリンを投与するよう医師に推奨した。
ドイツ政府は一部の接種者に血栓ができたことを受けて、アストラゼネカ製ワクチンの接種を見合わせていたが、欧州医薬品庁(EMA)が安全との結論を18日に出したことをことから、接種を再開した。