ルサール―独社買収へ、「問題なし」と経済省承認―

ロシアのアルミ大手ルサールは9日、独同業アルミニウム・ラインフェルデン(アル・ラインフェルデン)を買収すると発表した。貿易法上の審査を実施した独経済省から取引が承認されたことから傘下に収める。

アル・ラインフェルデンは1898年創業の老舗メーカーで、2020年の売上高は1億1,000万ユーロだった。コロナ禍の直撃を受けて昨秋に経営破綻。ルサールは買収に名乗り出、債権者委員会から2月に承認を得ていた。

アル・ラインフェルデンは軍事転用が可能な特許を持つことから、経済省は貿易法上の審査を行っていた。政府は外資によるドイツ企業への出資が国内および欧州連合(EU)の他の加盟国の公的秩序・安全保障に深刻な影響をもたらす可能性がある場合、同法に基づき包括的かつ予見的な審査を行うことができる。

ルサールはロシアのプーチン大統領と親しい富豪オレグ・デリパスカ氏の持ち株会社が45%出資する企業。同持ち株会社は露国防省と取引のある企業2社を傘下に持つことから、アル・ラインフェルデンの買収を認めると、軍事技術がロシアに利用される懸念が持たれていたが、独政府は問題がないと判断した。

ルサールはアル・ラインフェルデンの従業員250人を継続雇用するほか、すでに解雇されていた40人を再雇用する。今回の買収により、独自動車部品市場に足場を築くことになる。アル・ラインフェルデンはルサールのグローバルな事業網を活用して世界販売を拡大していく意向だ。

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