電機業界生産高が5%増加見通し、コロナ禍前の水準をほぼ回復へ

独電気電子工業会(ZVEI)は12日、同国電機業界の生産高が今年は実質5%増加し、コロナ禍に伴う昨年の落ち込み(同6%減)はほぼ解消されるとの予測を発表した。昨秋から続く新規受注の回復が加速しているうえ、業界企業の景況感も改善していることから、 V字回復が期待できるとしている。

懸念材料としては米中対立の先鋭化や、急速な景気回復に伴うサプライチェーンの支障を挙げた。マイクロチップ、樹脂、鉄鋼、銅で供給が不足。また、輸送需給のひっ迫で運賃上昇と輸送時間の長期化が大きな問題となっている。

ZVEIが同日発表した2月の新規受注高は前年同月を12.7%上回った。増加は6カ月連続。ユーロ圏外が21.7%増と特に大きく伸びた。ユーロ圏(ドイツを除く)は10.5%増、国内は7.3%増だった。

2月の生産高は前年同月を実質2.9%上回り、2カ月ぶりに上昇した。

3月の生産計画(先行き3カ月)で「拡大」を予定する企業の割合は前月の42.6%から45.8%へと増加した。「縮小」は4.4%から6.0%へとやや増えたものの、拡大の割合から縮小の割合を引いた数(ディフュージョン・インデックス=DI、無効回答を除いたベースで算出)は前月の39.0ポイントから40.6ポイントへと上昇した。同DIがプラスの領域に入るのは7カ月連続。

同DIが特に高かった部門は配線システム(65.0ポイント)、計測機器・プロセスオートメーション(58.5ポイント)、オートメーション(50.6ポイント)。情報機器(-26.4ポイント)とケーブル(-13.3ポイント)はマイナスの領域に沈んだ。

2月の業界売上高は前年同月比1.7%増の153億ユーロとなり、2カ月ぶりに拡大した。地域別の内訳は国内が0.7%増、ユーロ圏が横ばい、ユーロ圏外が3.9%増だった。

3月の業界景況感指数(現状判断指数と期待指数の中央値)は前月の32.4から33.2へとやや上昇し、6カ月連続でプラスの領域を保った。改善は11カ月連続。現状判断指数(現状を「良い」とする回答から「悪い」とする回答を引いた数=DI)が27.0ポイントから37.7ポイントへと上昇し、全体を押し上げた。期待指数(今後6カ月の見通しが「良い」とする回答から「悪い」とする回答を引いた数=DI)は37.9ポイントから28.7ポイントへと落ち込んだ。景況感指数は白物家電(60.3)、スイッチ・開閉装置(47.6)、配線システム(46.0)で特に高かった。通信機器(-22.2)と娯楽家電(-1.7)の2部門はマイナスに沈んだ。

上部へスクロール