労働条件を変更するために旧契約を解除し新たな契約を結ぶことを、「変更解約(Aenderungskuendigung)」と言う。この変更解約を巡る係争でハンブルク州労働裁判所が3月に判決(訴訟番号:5 Sa 67/20)を下したので、ここで取り上げてみる。
裁判はハンブルク港で働く女性が勤務先を相手取って起こしたもの。同社では月~金曜日の勤務を3シフト体制(6時半~15時、14時半~23時、22時半~7時)、土日と祝日を4シフト体制(7時~13時、13時~19時、19時~1時、1時~7時)で運用している。
原告は育児休暇の取得を機に、勤務時間を月火木金の各6時半~12時半(週24時間、1日6時間)に変更していた。だが、被告は原告の勤務先部署を他社に売却。それに伴い◇勤務を週3日、計25.5時間(3×8.5時間)とする◇勤務時間は月~金が6時半~15時ないし22時半~7時のシフト、土日・祝日が7時~13時ないし13時~19時とする――ことを原告に要求したことから、原告はこれを不服として提訴した。
一審のハンブルク労働裁判所と二審のハンブルク州労裁はともに原告勝訴判決を下した。判決理由でハンブルク州労裁の裁判官は、被告が変更解約で原告に要求する新たな勤務時間は業務上必要な範囲を逸脱していると指摘。週末勤務を義務付けることに妥当な根拠はないとして変更解約の無効性を確認し、原告はこれまで通りの条件で勤務できると言い渡した。