独ダイムラーの商用車子会社ダイムラー・トラックは26日、組織再編計画を発表した。年末のスピンオフと新規株式公開(IPO)をにらみ、収益力を強化するとともに、業界の構造転換で主導的な役割を果たせる体制を構築する。7月1日付で新体制に移行する。
ダイムラー・トラックは現在、北米でフレイトライナー、ウェスタン・スター、トーマス・ビルト・バシーズ、欧州と南米でメルセデスベンツ・トラック、アジアで三菱ふそう、バーラト・ベンツの各ブランドを展開している。今後はこれらブランドの製品開発権限を強化。各地の顧客ニーズにきめ細かく対応できるようにするとともに、迅速な意思決定を下せるようにする考えだ。
一方、今後の競争でカギを握る炭素中立、ソフトウエア、コネクテッドカーの分野では本社に権限を集中する考えで、トラック・テクノロジー・グループ(TT)という事業ユニットを新設。パワートレイン分野の研究開発、製造に関するすべてのコンピテンスをTTが掌握する。TTはまた、車載ソフトウエアと電気・電子機器、グローバル調達を統括する。
マルティン・ダオム最高経営責任者(CEO)は「新しい事業構造を通して2つの世界の最良のものを実現する。ひとつは最高度に緊密な顧客との関係と諸地域での現場の起業家精神、もうひとつは将来技術分野における中央の最高のエンジニアリング力だ」と述べた。
スピンオフとIPOに伴い、これまでダイムラーの金融サービス子会社ダイムラー・モビリティで展開してきたトラック・バス分野の融資、リース、保険事業はダイムラー・トラックへと移管する。