フォルクスワーゲン―従業員代表トップが商用車子会社の取締役に―

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は23日、グループの全従業員を代表するコンツェルン事業所委員長のベルント・オスターロー氏(64歳)が商用車子会社トレイトンの人事担当取締役に5月1日付で就任すると発表した。後任には同副委員長を務める女性のダニエラ・カヴァロ氏(46歳)が昇格する。女性がVWのコンツェルン事業所委員長に就くのは初めて。

オスターロー氏は1977年の入社で、2005年にコンツェルン事業所委員長と監査役に就任した。監査役会の中心メンバーで構成される幹部会のメンバーにもなっている。経営の失敗を具体的な理由を挙げて批判するなど存在感が大きい。近年は効率や利益率の向上を最優先するヘルベルト・ディース社長と対立。同社長を解任の瀬戸際に追い込んだこともある。

今回の人事の理由は明らかにされていない。メディア報道によると、オスターロー氏は事業所委員の世代交代の重要性を強調してきたという。

VWでは来春、監査役会の次期従業員代表が選ばれるほか、コンツェルン事業所委員の選挙も行われる。オスターロー氏はこれを見据えてカヴァロ氏とバトンタッチしたもようだ。

カヴァロ氏はイタリア移民の子供としてドイツで生まれ育った。オスターロー氏にように面と向かって対決する姿勢を打ち出すことはないものの、弁舌に長け物事を貫徹する力量は高いという。

上部へスクロール