車両電動化による雇用減、定年退職を大幅に上回る規模に

内燃機関車から電動車への需要の移行に伴い自動車業界で不要となる雇用規模は定年退職による就労者の自然減を大幅に上回る――。Ifo経済研究所は独自動車工業会(VDA)から受託して実施した調査でこのような結論を導きだした。エンジン関連の事業を手がける企業は従業員の研修など適切な措置を早期に実施し、構造転換に備えるべきだと提言している。

Ifoによると、車両の電動化進展に伴い、エンジン製造関連のドイツの雇用規模は2025年までに少なくとも17万8,000人、縮小する。一方、この間に定年退職する当該分野の就労者は7万5,000人にとどまることから、10万人以上が職を失う恐れがある。30年には縮小する雇用規模が最低21万5,000人、最大28万9,000人に拡大する見通しだ。

Ifoはこの予測を、欧州連合(EU)域内の温室効果ガス排出量を30年までに90年比で40%削減するとした従来の政策目標に基づいて算出した。EUは同削減幅を55%に引き上げることから、エンジン車の需要減は加速する可能性がある。

VDAのヒルデガルト・ミュラー会長はグリーン水素ベースの合成燃料「eフューエル」を実用化することで、内燃機関車のカーボンニュートラル(炭素中立)を実現できると指摘。電気自動車(EV)など特定の技術に偏らず、幅広い分野の技術の可能性を掘り起こしていくべきだと訴えた。