同僚に故意に咳を吐きかけ、解雇は妥当

新型コロナウイルスの感染が流行するなかで同僚に意図的に咳を吐きかける行為は即時解雇に値する――。デュッセルドルフ州労働裁判所が昨年8月の判決(訴訟番号:3 Sa 646/20)でそんな判断を示したので、ここで取り上げてみる。

裁判は若い機械工が勤務先を相手取って起こしたもの。新型コロナの流行が始まったことを受け同社は社内感染を防止するため「パンデミック計画」を策定。社会的距離や衛生ルール、咳・くしゃみをする際と鼻をかむ際はティッシュペーパーや袖で口と鼻をふさぐことなどを2020年3月11日付で義務化した。

被告によると、原告はこれらの決まりを守らなかったうえ、守る意思がないことを面談で何度も表明していた。17日にはさらに、同僚に至近距離から咳を意図的に吐きかけたうえ、「コロナに罹ることを期待している」と暴言も吐いたことから、被告は事業所委員会(Betriebsrat)の同意を得たうえで原告に即時解雇を通告した。

二審のデュッセルドルフ州労裁は、被告は事実関係を十分に立証できなかったとして原告勝訴を言い渡したものの、仮に被告の主張が正しとすれば、原告の3月17日の行為は即時解雇に値するとの判断を示した。そうした行為は同僚に対する配慮義務に著しく抵触するとしている。

最高裁の連邦労働裁判所(BAG)への上告は認めなかった。

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