次期政権樹立は難航の恐れ、「緑の党が第1党なら下野」=CSU党首

中道右派の与党キリスト教社会同盟(CSU)のマルクス・ゼーダー党首はフンケ・メディアグループのインタビューで、9月の連邦議会選挙で緑の党が第一党となり首相を出す場合、CSUと姉妹政党のキリスト教民主同盟(CDU)は下野すべきだとの立場を表明した。仮にそうなると、緑の党に残された選択肢は左派3党の連立か、中道左派の社会民主党(SPD)、規制緩和を重視する中道右派の自由民主党(FDP)との3党連立(信号政権=各党のシンボルカラー緑・赤・黄にちなむ)の2つとなる。左派3党政権は国民の幅広い支持を得にくい。また、信号政権はFDPの政策方針が緑の党、SPDと大きく隔たっていることから、樹立のハードルが極めて高く、実現したとても機能しない恐れがある。

ゼーダー党首はCDU/CSUが選挙でもし緑の党に敗れるのであれば、事実上の不信任に当たり、「再生という別の道を選ばなければならなくなる。つまり下野だ」と明言した。また、緑の党のジュニアパートナーとして政権に参画することは、「CDU/CSUに長期的に根本的なダメージを与える」との認識を示した。

公共放送ZDFが21日発表した最新の有権者アンケート調査では緑の党の支持率が25%と最も高かった。CDU/CSUは24%で、前回同様2位にとどまった。3位以下はSPD(14%)、FDP(11%)、極右の「ドイツのための選択肢(AfD)」(11%)、急進左派の左翼党(7%)が続く。

緑の党とCDU/CSUの合計は49%で、過半数をやや下回るものの、比例区で5%未満の政党は通常、議席を確保できないことから、両会派は過半数議席に支えられた安定政権を樹立できる。また、信号政権は50%、緑の党とSPD、左翼党の3党連立は46%で、数的には可能性がある。

だが、温暖化防止策を加速するために増税を視野に入れる緑の党と、増税を明確に否定するFDPが共同政権を樹立する可能性は低い。左翼党が政権入りすることには中道右派の有権者を中心に拒否感が強い。対ロシアや安全保障政策で同党と緑の党の隔たりが大きいという問題もある。

このため、緑の党との連立をCDU/CSUが拒否すると、政権樹立は難航が避けられない見通し。仮に安定政権を樹立できたとしても、温暖化防止や安全保障といった重要課題に適切に取り組めなくなる恐れがある。